WORKMOTIVATION

資料と万年筆

産業・組織心理学会 第29回大会(9/7,8)での発表

ワーク・モチベーション研究所所長菊入みゆきが、産業・組織心理学会 第29回大会で

研究発表し、また、モチベーションのセッションの座長を務めました。

大会の模様をレポートします。

 

 


 

 

産業・組織心理学会 第29回大会

■2013年9月7日(土)、8日(日)

■会場:京都橘大学  京都市山科区大宅山田町34

 

◆大会の概要

産業・組織心理学会は、現在1,000名を超える会員を抱え、来年設立30周年を迎える学会です。

 

毎年、9月に大会が開かれ、多くの研究者や企業人が研究を発表し、活発なディスカッションを行います。
今年は、緑に囲まれた美しいキャンパスを有する京都橘大学が会場となり、
2日間にわたり、全71件の発表が行なわれた他、シンポジウムやワークショップが開催されました。

 

発表された研究テーマは、「キャリア自律を促進する要因の実証的研究」などのキャリアに関わる研究や、

東京電力のテレビ会議を分析した「緊急時意思決定における多地点遠隔コミュニケーションの課題」

といった時宜を得た研究のほか、部下育成に関するもの、大学生の就職活動に関わるもの、
人材マネジメントに関わるものなど、多岐に渡ります。

 

参加者は、それぞれの関心と照らし合わせて、教室を移動しながら、様々な発表を聞き、また質疑応答で
ディスカッションに参加していました。

◆「同僚の達成動機の認識が個人の達成動機の変化に及ぼす影響」の発表を行ないました。

今回、菊入は、筑波大学大学院 岡田昌毅教授との共同研究による、「同僚の達成動機の認識が

個人の達成動機の変化に及ぼす影響」と題する研究を発表しました。

大会初日の朝一番での発表でしたが、多くの方に参加いただき、発表後の質疑応答も有意義な内容になりました。

 

発表の骨子は、次のとおりです。
【問題】
日本のやりがいは、1980年代から中長期的な低下傾向にあり、労働生産性の国際比較においても、主要先進7か国中最下位であるなど、課題を抱えています。
【本調査】
先行研究を元に、同僚の達成動機が高いと推測すると、個人の達成動機が高まるのではないか、という仮説を立て、データを収集し、因子分析と銃回帰分析を行ないました。
【結果】
同僚の自己充実的達成動機(自分なりの達成基準への到達を目指す)が高いと認識すると、個人の自己充実的達成動機が高まり、同僚の競争的達成動機(他者に勝つことで社会的な評価を得ることを目指す)を認識すると、個人の競争的達成動機が高まることが示されました。
モチベーションは、職場において同僚から同僚に、伝播することが明らかになりました。
【考察】
達成動機は確かに伝播しているということが確認されました。組織で働く私たちは、この伝播効果を活用すれば、効果的に、自身のモチベーションアップを実現できるということです。意識的にモチベーションが高い同僚を観察し、交流する、あるいは、自身がモチベーションの伝播元となって、まわりに影響を与える、などです。
さらに、同種の達成動機が、独自の伝播ルートを持つことが明らかになりました。「この人は、自分なりの達成基準を目指してがんばっているな(自己充実的達成動機)」と思うと、自分も「自分なりの達成基準を目指してがんばるぞ」と思うようになり、「他者に勝って評価を得ようとしてがんばっているな(競争的達成動機)」と思うと、自分も「他者に勝って評価されるようがんばるぞ」と思うのです。
異種の達成動機間では、伝播は起こっていませんでした。

 

自己充実的達成動機は、先行研究によれば、抑うつ形成を抑制し、ソーシャルサポートの活用を促し、無力感的な行動を抑制するなどの特徴があります。一方、競争的達成動機は、抑うつ形成を促し、無力感的な行動につながることが指摘されています。
職場においても、同僚の自己充実的達成動機の発現に関心を持ち、観察し、また、自身も自己充実的達成動機を感じるよう工夫することが望ましいといえます。
「難しいことでも自分なりに努力してやっている」「何でも手がけたことには最善をつくしている」「いろいろなことを学んで自分を深めている」といった、自己充実的な行動に着目し、自身もこのような行動をとってみることが重要です。

 

◆モチベーションのセッションの座長を務めました。

モチベーションに関わる研究発表のセッションの座長として、司会・進行役を務めました。

発表された研究は、菊入の研究のほかに、
「働きがい/自律的組織/企業競争力をつなげる理論」
「サイコロジカルエンパワーメントに関する実証的研究:サービス業従事者を対象とした検討」
「鉄道運転士のワークモチベーションと組織要因の関係性-所属職場の人数規模と若手・ベテラン別での分析-」
の4つです。
それぞれ、発表者の問題意識が感じられ、データや解析結果を用いた、質の高いユニークな内容でした。

 

◆最後に ~参加してみての所感~

学会の大会は、会員が一堂に会する貴重な場です。
研究を主たる業務にする大学関係者、ふだんはビジネスの真っ只中にいる企業人、組織で人材開発などの
業務に携わる人など、さまざまな背景を持つ会員が、同じ教室の中で同じ発表を聞き、立場に関係なく質問を
したりディスカッションをしたりすることができます。
私は、1998年から何回かに渡って、研究発表やシンポジウム発表などの形で参加してきました。
今回も、他の会員の発表を聞いて大いに刺激を受け、今後の日本のモチベーションの方向を考えたり、
産業・組織心理学に関心があるものとしての社会的な責任を考えたりする、とてもいい機会になりました。

 

ワーク・モチベーション研究所 所長 菊入みゆき

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