コラム

2017年03月07日

内発的なモチベーションは作れる
組織内の「伝染」を活用する

菊入 みゆき (きくいり みゆき)

菊入 みゆき

ワーク・モチベーション研究所 所長
シニアコンサルタント

ワーク・モチベーション(仕事に対するモチベーション)に関するいくつかの理論の中に、内発的/外発的モチベーションの理論があります。

内発的モチベーションは、その仕事をすることそのものが楽しく、それが心理的な報酬となって、喚起されます。

外発的モチベーションとは、仕事の結果である報酬や罰によって喚起されます。内発的モチベーションは、成果につながりやすく、創造性やイノベーションにも効果を持つことがわかっています。内発的モチベーションを高めるためには、自律性や有能感を高めることや、周囲との信頼関係構築がカギになると言われていました。

このコラムは、もう一つ、伝染による内発的モチベーションの向上策をご提案したいと思います。

モチベーションは、伝染している

モチベーションは伝染することが実証されています。様々な実験結果があります。学習場面における実験では、「この人は、内発的なモチベーションが高い先生です」と紹介された教師に学んだ学生は、その学習内容に対して、内発的モチベーションが高まります。

さらに、その学生が同級生に対して、学習した内容を教えると同級生も内発的モチベーションが高まります。まさに、連鎖的に伝染していくのです。

ランニングマシンで運動をする実験では、対象者の隣のマシンの人が、「楽しい」「もっとやりたい」という内発的モチベーションを表す言葉を発しているケースと、「運動は嫌いだ」等の外発的モチベーションを表す言葉を発しているケースを比較しました。すると、前者のケースのほうが、運動の強度が強まり、運動を継続する時間も長かった、即ち、一生懸命運動したのです。隣のマシンの人から、モチベーションが伝染していたと考えられます。

職場におけるモチベーションの伝染

これらの実験結果は、職場にも適用できます。日常の業務の中で、「これ、おもしろいね」、「お客様に喜んでもらえて、うれしいね」などのポジティブな感情を表現する言葉や、「こういう工夫をしたら、もっと良くなるんじゃないかな」、「よし、がんばろう」などの、前向きな気持ちを表す言葉はモチベーションの伝染を引き起こします。このような言葉が飛び交うような職場の雰囲気を作ることが大事です。集合研修や、社内の表彰式などのイベントでも、モチベーションの伝染が起こります。研修のグループディスカッションで、日頃の努力や工夫について話し合ったり、表彰の場面では、実績を挙げた同僚が職場でがんばっている様子を撮影した映像を見たりします。そうした話し合いや、映像から垣間見える高いモチベーションが参加している人たちに伝染し、皆が高いモチベーションを持つことになります。

研修やイベントなどのコミュニケーションの場は、互いのモチベーションをことばにして表現したり、映像や画像を活用することで、効果的にモチベーション伝播を引き起こす絶好の機会です。

相手との類似性がポイント

モチベーションの伝染には相手との類似性が影響を与えます。同性同士や、所属が同じ人同士は、伝染が起きやすいのです。まずは、同性同士や、部門内での伝染を促進することで、効果的なモチベーションアップができるでしょう。また、部門を超えた、会社全体というカテゴリーであっても社員が「同じ会社の所属である」と実感できれば、伝染が起こりやすくなります。

社員同士が互いの共通点を認識したり、組織の一体感を感じられるようなコミュニケーション施策がモチベーションの伝染効果を高めます。また、モチベーションの高さが、あまりに違い過ぎると、伝染が起こりにくいこともわかっています。

自分の手の届かないくらい高いモチベーションの人を見ると自分と相手との差に注目してしまい、「相手と比べて、こんなに低い自分はだめだ」と思ってしまうケースがあるのです。業務上のチームメンバーの組合せや、上司と部下の組合せで、モチベーションが違いすぎる場合には、伝播は起こりにくいかもしれません。中程度のモチベーションの人が間に入ることで段階的にモチベーションが伝播する環境を作る等の工夫が必要でしょう。

社員同士が互いのモチベーションについて語り合い、理解し合うことで、よいモチベーションが伝染する、そんな職場を作りたいですね。

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