コラム

2021年02月16日

【セミナレポート】社員のエンゲージメントを高めるインナーブランディング活動 ラーニングイノベーション2020 特別講演オンラインセミナー

川村 益之(かわむら ますゆき)

川村 益之

株式会社JTBコミュニケーションデザイン
HRコンサルティング事業局
シニアコンサルタント

2020年以降は、変動性・不確実性・複雑性・曖昧性の4つの頭文字を取ったVUCA(ブーカ)の時代とも呼ばれ、先行き不透明な時期が続いています。

新型コロナウイルスの感染拡大のなか、社員のエンゲージメント(帰属意識)の低下に対して、不安を抱く経営者・人事担当者は少なくありません。

そのような状況下において、今後重要となる「社員のエンゲージメントの向上」や「顧客から評価される企業価値(ブランド)の向上」について、日経BP主催「ラーニングイノベーション2020」(2020年12月1日開催)にて特別講演いたしました。

当記事では、長年モチベーションやホスピタリティ関係での独自メソッドの提供、HRソリューション関係に関わってきた、JTBコミュニケーションデザインのシニアコンサルタント川村益之氏による、「インナーブランディング活動」についての講義をレポートします。

企業を取り巻く不確実な社会・市場環境

「技術革新」や「SDGs・ESGへの対応」などのさまざまな要因から、多くの経営者・社員から「先が見えない」「戦略が打てない」と声が挙がっています。

変化する企業を取り巻く環境の具体例は次のとおりです。

・日本では2008年より人口が減少し、国内マーケットも縮小傾向
・新型コロナウイルス感染拡大により、4,000万人見込みの訪日インバウンド需要が消える
・「AI・IoTやロボティクスの台頭」「AmazonやGoogleなどの巨大プラットフォームの躍進」が進む
・テレワークや副業解禁が広がっている

こうした背景から従来のビジネスモデルが通じなくなってきており、今後はあらゆる業界に影響を与えると考えられます。

新型コロナウイルス感染拡大による社員の働き方の影響

新型コロナウイルス感染拡大によって、社会・市場環境の他に「社員の働き方」にも大きな影響が出ています。

コロナ禍での社員のモチベーションや、日本の労働者のエンゲージメントはどのように変化しているのでしょうか。

コロナ禍で広がる社員のモチベーション低下

 

株式会社パーソル総合研究所が実施した調査における、「テレワークを行っている人の不安」をランキング化すると、

1. 非対面のやり取りは、相手の気持ちがわかりにくく不安:37.4%
2. 上司や同僚から仕事をさぼっていると思われていないか不安:28.4%
3. 出社する同僚の業務負担が増えていないか不安:26.4%

という結果が出ました。

経験・スキルが高くて自己完結できる人の業務生産性が上がる一方で、成長段階にある若手は、仕事のわからない点・意見を聞ける上司や先輩とのコミュニケーションが取れません。そのため、若手社員の仕事の質を下げている可能性があります。

また管理職も、部下の指導・育成ができずに悩んでいる人が多いと考えられます。

JTBコミュニケーションデザインが実施した「ウィズコロナ時代のモチベーション調査」でも、東日本大震災のときに行った「やる気は、大震災前より上がった」という回答38.5%と比べて、「やる気は、コロナ禍前より上がった」という回答は21.9%に留まりました。16.6%下がっています。

「コロナ禍が収束したらがんばろうと思うのか?」についても、震災時に比べて6.8%の低下です。

つまり自社社員のモチベーションを支えるためにも、経営者が「将来あるべき姿」を示すことが、今、求められています。

管理職も「仕事の大切さ(有り様)」を部下に伝えることが必要になります。

非接触型社会への移行による影響

これまで「リアル(対面営業や実店舗での販売など)」と「デジタル(オンライン営業やECサイトでの販売など)は別物として捉えられていましたが、これからは「デジタルの中にリアルがある」という考えに変わっていきます。

例えばビジネス面では、Amazonやアリババなどの「ネット販売で急拡大・急成長してきた会社」が、この数年間でリアル店舗を買収している実例があります。

人事面では、JTBが「ふるさとワーク制度」を実施しました。

こちらは地域にある自宅やサテライトオフィスでリモート業務を行い、数ヶ月に1回の重要な会議は出席する制度です。デジタルの中のリアルな働き方が誕生しました。

今後は組織の変化に対して指示を仰ぐのではなく、社員自身が対応していくような自己組織化していく、「自律的なティール型組織」への変革が求められています。

世界最下位レベルである日本の社員の熱意

米ギャラップ社のエンゲージメント調査によると、日本の「熱意あふれる社員」の割合が6%に留まっています。この数値は調査対象139ヵ国中132位でした。

要因の1つに挙げられるのが、先進国の中で20年間給与が上がっていないのは日本のみであり、下手すると下がっているという事実です。

「従来型の年功序列型賃金のベースとなる『時間=報酬』では、仕事への熱意が持てないのではないか?」と推測されます。

これに対してアメリカは31%と、日本の約5倍以上の数値です。

労働人口1億6,000万人中4,000万人がフリーランスであるアメリカは、自分の強さやスキルを磨いて仕事に取り組んでいます。

これが仕事に対する熱意の差になっているのではないでしょうか。

そのため、社員のエンゲージメントを高めるためには「社員が共感できるミッション・ビジョン」が重要になります。

以下では、「2020年代の企業が目指すべき方向性と注目すべき経営テーマ」をご紹介します。

上記のうち、とくに「企業のあるべき姿を再定義する」ことが大切です。

企業価値(ブランド)向上に向けた「ミッション」と「ビジョン」の重要性

企業価値(ブランド)を向上させるには、

・「顧客・社会」が期待するモノ
・「社員」が組織に期待するモノ
・「組織」が社員に期待するモノ

上記の3者が共有・共感できるミッション・ビジョンが重要になります。

実現させるためには「無形資産・人的資本の最大化を図るための新たな組織構造・人事制度・仕組みと運用」が必要です。

なかでも、

・多様性を受け入れる組織開発
・多様なキャリア開発
・リーダーシップ開発

が重要になります。

組織のミッション・ビジョンは個人レベルまでの浸透・連動が重要

「ミッション・ビジョンは会社が作るべきじゃないのか?」という社員は多いですが、実際には部門やチーム、最終的には個人レベルまで連動することが大切です。

ビジョンを実現するための戦略・目標があり、その目標を達成するためにリーダーシップを発揮するという動きが求められます。

経営視点から見るインナーブランディング活動

 

インナーブランディングの定義は次のとおりです。

続いて、経営視点から見たインナーブランディング活動を見ていきます。

新型コロナウイルス感染拡大や少子高齢化による人手不足などの厳しい環境のなかで、企業はあらためて「自分の会社組織の存在意義」を問われています。

存在意義から明確なミッションと、そのミッションを果たすためのビジョンを作るべきです。

さらに、そのビジョンを達成するための戦略・目標があって、そのマネジメントとリーダーシップを発揮していくことによって、社員のモチベーションを高めて行動を促進します。

その後、お客様に提供するソリューション、商品サービス、社員のホスピタリティ、SDGs・ESGなどを通じて自社のミッションを伝達します。

顧客はこうしたものを通じて企業にブランドを抱き、それが企業価値につながるという流れです。

この一連の流れこそ、経営視点から見たインナーブランディング活動になります。

エンゲージメント・企業価値を高めるためのインナーブランディング活動

VUCAの時代のなかで、社員のモチベーション低下を防ぎつつ、エンゲージメントを高めることは重要な課題になります。

そのためには企業の在るべき姿を再定義し、「顧客や社会」「社員」「組織」の3者が共有・共感できるミッション・ビジョンを作ることが必要です。

上記のような再定義とミッション・ビジョンの再構築を行う「インナーブランディング活動」を行うことで、社員のエンゲージメントの向上が見込めます。

さらにソリューションやサービス提供によって顧客にミッション・ビジョンが伝わる結果、企業価値の向上にもつながります。

ただインナーブランディング活動を取り入れる上で、「具体的にどのように進めていけばよいのか」という疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

そうした担当者に向けて、JTBデザインコミュニケーションが実際にコンサルティングしているA社を例に、実際にインナーブランディング活動を取り入れた事例を資料としてまとめました。

今後インナーブランディング活動を取り入れる上での参考となるはずです。ぜひご一読ください。

 

 

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