コラム

2020年12月21日

【セミナレポート】ハイブリッド型コミュニケーションの顧客対応力から見る顧客の信頼獲得するためのヒント

夏苅 正史(なつかり まさし)

夏苅 正史

株式会社JTBコミュニケーションデザイン
HRコンサルティング事業局
エグゼクティブ プロデューサー
兼HRチーフコンサルタント

ハイブリッド型コミュニケーションにおける基本的な観点

顧客との信頼関係を構築するには、「どのような手段を取るべきなのか」「どのような目的を設定すべきか」「とくに大切な要素になる『顧客から共感』をどう得るべきか」の3項目をまず分析します。

1.どのような手段であれば信頼獲得が最大化できるのかを考える

 

ハイブリッド型コミュニケーションの主なアプローチ方法は、「オンライン」「リアル」「メールや電話」の3つです。
これらをどう組み合わせれば、ハイブリッド型コミュニケーションでの信頼獲得が最大化できるのかを考えます。
とくに大切なのは、「リアル接点(顧客との対面)」が必要になるタイミングを逃さないことです。
オンラインが前提になってしまうと、ついついオンラインやメールでのコミュニケーションが中心になってしまいます。
「いかに自分からリアル接点を作り出せるか?」を常に思案することが重要です。

 

2.信頼を深めるための4ステップを軸に目的を設定する

 

顧客からの信頼を獲得し、徐々に深めていくプロセスには、

1.認知(悩みやニーズなど相手を知ること)
2.理解(悩みの背景などを深く理解すること)
3.共感(相手をわかりあう)
4.真の行動(想いの先の実現につながる行動)

上記4つのステップが存在します。

この4つのステップを、「顧客対応を考える上での目的」として捉えることが大切です(「相手を知るためにはどうすべきか」「わかりあうにはどうすればよいか」など)。

とくに大事なのは「共感」の部分です。

共感を得られるかで、その後の顧客とのつながりの強さが大きく変わります。

3.共感を得るために必要な「共通体験」を共有する

 

認知・理解のステップを比べると、共感はすぐには得られません。
獲得するためには、下記のような「顧客との共通の体験」ができるかが重要です。

・一緒に考える
・アイデアを出し合う
・喜び合う
・感謝し合う など

この共通体験を限られた時間の中でどれだけ共有できるか、これが共感を得るためのポイントになります。

信頼獲得のために強化すべき対応とは

信頼獲得のためには対応策の強化が必須といえど、信頼について明確に説明できる人はそこまで多くありません。
そこでここからは、JTBが整理した「信頼とは?」についての考え方をご紹介します。

【基本的要因】顧客が無意識に持つ事前期待について

 

事前期待とは、顧客が無意識に必ず持っている期待を意味します。

1つでも不足すると不満やクレームにつながる「必ずやるべきこと」であり、顧客からの信頼を得るための基本となる対応です。

この事前意識は「基本的要因」として、次の1~3レベルと13項目に分けられます。

しかし、この基本的要因を満たす対応に関して顧客が「満足した」と答えても、最大40%の顧客が企業や店舗を替えてしまうというデータがあります。

継続的に自社を選んでもらうには、「柔軟さ」「親近感」「心地よさ」など、「+α的な感情要因」が強く影響していると考えられます。

【情緒的要因】より信頼を深める顧客対応について

 

基本的要因をすべてやりきったことを前提に、信頼をより深めるための「期待はしていないが感じると好感を覚える」対応があります。

1つでも感情的なつながりができると、リピートの確率が上がるという考え方です。

これらは「情緒的要因」として、次の4~6レベルと16項目に分けられます。

上記は業界や職種の特性、オンラインの立場を考えたときに、「これらの何を強化することが必要か」を考える素材にもなります。

「信頼の基本となる対応」と「信頼を深める対応」の考え方

 

信頼の基本となる基本的要因をすべて満足させた上で、信頼をより深める情緒的要因を満たすことが大切です。

顧客の情緒的要因を満たせば、

・ファンによる購入額増や利用頻度上昇など「経済的支援」
・新規客紹介や良い口コミなどの「支援的行動」

などの行動につながりやすくなります。

「信頼獲得のために何が必要か」を議論する際は、

・最低限やらなくてはならないものは何か
・どういう行為が顧客との歩み寄りにつながり信頼獲得につながるのか

上記2つの視点を分けて考えることが必要です。

オンラインを軸とした自社の対応力強化モデルの検討について

ここからは法人営業を例とした「オンラインを軸とした自社の顧客対応力強化モデル」を用いながら、具体的な手法を見ていきます。

【手段】ハイブリッド型による信頼度・相手との距離感について

上記はJTBの法人営業を例にした、「オンライン3回」「リアル2回」「メール/TEL4回」を組み合わせたコミュニケーションモデルです。

 

<グラフの意図>
・リアルの機会が信頼度を引き上げる、逆に下げることにもなる重要な部分と考えている
・相手を理解するにはパワーが要るため、早めにリアルの機会を設けたい
・クロージングもリアルとしたい

 

各社で「どんな手段の組み合わせやアプローチが、高い信頼度獲得につながるのか」を議論したり、グラフに表したりするコミュニケーションを取ることをおすすめします。

【目的】ハイブリッド型によるコミュニケーション手段とその目的

前述のグラフに「認知」「理解」「共感」「真の行動」の4ステップを組み合わせます。

 

<グラフの意図>
・オンライン1回目、リアル1回目、オンライン2回目の3段階で認知と理解を終わらせる形
・共感はメール/TEL1回目から、オンラインとリアルコミュニケーションを重ねて獲得していく流れ

 

2つのグラフの組み合わせから、「どれくらいの営業活動期間があるのか」「どんな手段が有効なのか」「目的に対する手段は適切か」を見ます。

自社にとって最適な対応は、「オンラインのみの営業になる」「顧客との接点回数が限られている」など、業種・職種特性によって変化するため、事前の議論が必要です。

【強化すべき対応】目的達成のために必要な要因のピックアップ

 

続いて、目的達成のために必要な「基本的要因」と「情緒的要因」をそれぞれピックアップします。

 

1.オンラインにおける信頼ベースづくりに必要な基本的要因

今回の法人営業モデルでは、基本的要因のうち「ヒアリング(傾聴)」「計画的」「情報提供」「アフターフォロー」の4つを強化すべき対応としてピックアップしました。

 

<ピックアップの意図>

・ヒアリング
視覚情報が限定される分、身振り手振りや相槌などを強調した傾聴スキルの実施が必要と想定

・計画的
複数回を前提に、早い段階から段取りを掲示し、お互いの認識をすり合わせながらの営業活動の進捗が必要と想定

・情報提供
オンラインのほうがコミュニケーション時間にかかると仮定、補足資料や関連資料が必要と想定

・アフターフォロー
認識合わせのためにもオンライン営業以外でのフォローメール、追加確認などのTELの価値がリアル以上に高まると想定

※情報提供とアフターフォローは組み合わせで実施していくのではと予想

 

図解からもわかるように、上記4つの基本的要因は、信頼獲得の4ステップすべてで求められると今回は想定しています。

2.オンラインにおける深い信頼関係づくりに必要な情緒的要因

情緒的要因のうち、「洞察・察知」「先読み」「親密さ」「仲間意識」の4つを、法人営業で強化すべき対応としてピックアップしています。

 

<ピックアップの意図>

・洞察・察知
言われたこと以外にも本音を汲み取るアンテナはオンラインでも常に必要と想定
(リアルより難易度が高いため、アフターフォローの対応価値が上がる)

・先読み
オンラインに参加していない決済者が、後日資料に目を通すことを想定し、オンライン用の資料を別に準備し提出しておくような先手準備の対応価値が高まると想定

・仲間意識
「一緒に悩む、考える」体験を共有することが熱意として伝わり、お互いの歩み寄りにつながると想定

・親密さ
洞察・察知、先読み、仲間意識のプロセスを経るなかで自己開示の情報量が増え、よりお互いのことを理解しあえるようになる

 

共感の初期で洞察・察知と先読み、その次に仲間意識、最後に親密さが必要になるとの想定です。

自社の顧客対応人財育成モデルをアウトプットする

 

ここまで自社の「手段」「目的」「必要となる顧客対応」の3つの観点を組み合わせ、自社の対応顧客モデルを構築することをお伝えしてきました。

コミュニケーションの変化などの社会的変化を、経営者から現場の若手まで感じている今のタイミングこそがチャンスです。

変化の自覚がある今こそ、育成対象者自らが「ハイブリッド型での信頼につながるアプローチ」を検討することが大切になります。

もちろん、業界や職種、人財レベルによってモデルは異なるはずです。今回紹介したモデルを参考に、企業側がその機会を設けることが大事になります。

「ハイブリッド型の顧客対応力」のこれからの考え方とは

「どのタイミングでオンラインがよいか、リアルがよいか」などの判断は、現段階では難しいのが実情です。

今は何かしらのアウトプットを目指すのではなく、「現場の人間の見解」「顧客の考え」「事業戦略上の話」など、さまざまなところから情報を集めておくことをおすすめします。

今後、本格的にハイブリッド型で顧客へのアプローチを考える時に、集めた情報を生かしながら具体化することが大切になるはずです。

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